新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日本がもし分割されていたらー「屋上のテロリスト」を読む

 今日は午前中授業で午後から依頼された論文を読みました。するともう一つ論文の依頼がありました。今度は「性差別的表現について」です。
 こちらは40枚程度なので有難いです。前の論文は木曜日くらいまでに読み終わる予定です。残り10枚くらいになりましたが、さすがに読み疲れました。明日は授業とポスティングの準備で忙しいので読めません。
 さて最近本屋でおもしろい小説を見つけたので読みました。「屋上のテロリスト」(知念実希人著 光文社文庫)です。
 設定からしてSF的です。何と日本の終戦が遅れて日本が東西に分割されたところから始まります。実は日本が敗戦した当初から本当に日本分割案があったのです。
 おじさんはずいぶん昔その話を聞いたことがあったのですが、元防衛大学校長だった人の著書で確認しました。そこでは北海道を旧ソ連に、本州はアメリカ、九州はイギリス、四国は中国だったと思います。
 もしこの案が通っていたら日本は朝鮮半島やドイツのように東西に分割されていたと思います。また、中国が、四国を占領していたら、国共内戦後敗れた国民党の一部が四国に来ていたかもしれません。
 そうなると今以上に難しい現状があったでしょう。まさに台湾の二の舞になるところでした。逆に四国にいた国民党が共産党に投降したら日本は東西に共産圏を持つことになっていたでしょう。
 ところで「屋上のテロリスト」では西側は大統領制の共和国になり、東側は東日本連邦皇国となっています。西側は分かるのですが東側の国名は変ですね。
 実は小説では皇室が戦火を逃れて仙台に逃れたところで北からソ連軍がやってきて占領したのです。ソ連軍も国をまとめるのに皇室の力が必要だと思って皇室を残したのです。
 しかし、実質は共産党が支配することになります。ただ形式的には宮内卿という皇室を代表する職が元首のようです。実はこの人が最後で大きな働きをします。
 内容は非現実的で奇想天外ですが娯楽小説として読めば楽しいです。おじさんは現実に日本分割案があったことを知っているので身につまされました。
 作者については全然知らなかったのですが、何とお医者さんでした。森鴎外以来お医者さんの作家は多数います。人間の生の姿を目の前でみているし、医学というのは人間を冷静に観察する学問なので小説家に向いているのかもしれません。
 あるお医者さんは医学は人文科学でしと言っていましたが言い得て妙です。是非一度読むのをお勧めします。前述したように明日は授業とポスティングの準備で忙しいのでブログはお休みです。