新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

承認願望の強い社会

 今日の相場は日経平均60円ちょい安でした。株ネタばかりではつまらないので、現代の社会に関して少し思うところを書きます。
 タイトルにある通り現代社会は承認願望が強いです。簡単に言えば人に認められたい、さらに言えば注目され賞賛されたいという気持ちの強い社会だと思います。
 かっては他者を参照して自分を磨いたものですが、今ではそれは流行らないようです。ネットなどの進歩で自分のことをより広く不特定多数に喧伝できるようになりました。
 おじさんのこのささやかなブログでも大体1日50人前後の人が訪れてくれます。最高1日100人越のこともありました。もちろんおじさんのブログは訪問者数の増加を狙ったものではありません。
 人に話すことができないことを書いているだけです。ただ気になるのは個人の承認願望が高まっているだけでなく、社会全体に承認願望が高まっていることです。
 テレビ番組でもいかに日本が素晴らしいか、またいかに日本が世界中から好かれているかという番組を結構みかけます。
 かっての日本ではてぼめ(自分で自分のことをほめること)は恥ずかしいこととされました。かっての日本では謙虚であることが美徳とされたのです。
 自らを低くする謙譲語の発達もその結果なのです。おじさんが心配するのは自国礼賛は逆に他国を低く見ることにつながるからです。
 明治維新後しばらくは西洋に追い付けでした。その後日清・日露戦争の勝利をきっかけに日本は世界に冠たる大国であると思い始めました。
 その頃から中国や朝鮮に対する蔑視観が出てきました。子供の頃親からその頃はやった子供の歌を聞いたことがあります。
 敗戦で日本は打ちのめされ他国に対するあこがれが強くなりました。ただ中国や朝鮮に対する蔑視観は従来通りです。日本が負けたのはアメリカの先進技術だと考えたからでしょう。
 バブルが崩壊し日本が自信を失ったころからだんだん逆に日本は素晴らしい論が出てきました。普通バブルが崩壊したのは日本のあり方が悪かったから考え直そうとなるところですがそうなりませんでした。
 視点が内向きになり、自国が素晴らしいと思うことで慰めようとしているようです。特に安倍政権になって、戦後レジームの転換が言われるようになってから日本礼賛論が強くなったようです。
 しかし、現実には若者は不正規雇用で生活は苦しく、高齢者の未来も暗いです。海外企業を買収してもうまくいきません。人手不足は深刻だし、地方も疲弊しています。
 それでも移民は一切認めない、昔の家族制度を復活させると自民党は主張しています。安倍政権のふわっとした支持は国民の不安の裏返しでしょう。
 不安だからこそ強がりを言ってくれる政権を支持しているのだと思います。アベノミックスが破たんしたことは経済に少しでも関心のある人は知っています。異次元の金融緩和の未来が大変なことも皆知っています。
 ただそれを口に出せば現実になるという日本の伝統である言霊信仰から黙っているのでしょう。同様に威勢の良いことを言えば現実に威勢が良くなると信じているのかもしれません。
 いかに日本が素晴らしいか、日本が好かれているかという番組を見るたびに暗澹たる気持ちになります。明日は授業の上にポスティングの準備なのでブログはお休みです。