新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国の現状紹介ブログについて

 今日も株式相場はちょい安でした。上値がなかなか重いようです。昨日友人のミヤジイに会おうと思って電話したらあるブログについて話してくれました。
 おじさんも注目していたブログです。すでに連載は終わったようです。掲載サイトはアゴラです。アゴラはどちらかといえば保守系サイトなのですが、よくこのブログを掲載したものだと思います。
 ブログの名前は「現地を知らずに中国を語る日本人たちにひと言」です。確か10回にわたって掲載されたと思います。作者はもと読売新聞の記者だった方です。現在中国の大学で教えているようです。
 おじさんも3年間中国で生活して日本で報道される中国の姿と現状とのギャップに驚きました。明らかに日本のマスコミは日本人の考える中国観に沿った記事を書いていると思います。
 多分現実の中国をそのまま書くと日本の読者からごうごうたる非難が来るでしょう。中国をひいきしているというのです。中国滞在の記者もそれを知っているので現状と違うと思いながらも記事を書いているのでしょう。
 この方も書いていましたが、日本の書店に行くと反中国論の本が沢山でています。では中国の本屋さんに反日の本が出ているでしょうか。結論はそんな本は一冊もないということです。
 なぜなら中国人にとって日本のことなど関心がないのです。なぜ反日の本をわざわざお金を出して買わなければならないのかということです。広大な中国では日本人など見たこともない人が大勢います。日本人が住んでいる町の方が少ないでしょう。おじさんの町は中国でも大きな町ですが300人くらいしか日本人はいませんでした。
 3年間いて町で日本人に会ったのはたった3回くらいです。逆に欧米人は大勢います。
 中国に3年いましたが、反日的な態度や言動を感じたのは3回くらいです。逆に親日的な言動は何度もありました。以前も書きましたが着任してすぐ近くの観光地に行きました。
 帰りのバス乗り場が分からず中国の警官に尋ねました。するとお前は外国人ならパスポートか身分証明書を見せろなどとは言わず乗り場を親切に教えてくれました。
 バスの運転手はおじさんたち夫婦に向かってジャパンと言いました。だからおじさんたちが日本人だと分かっていたのです。おまけにおじさんたちが大学正門前のバス停より前に降りようとすると、いや違うという態度を示してくれました。
 あの警官はこの人たちは大学の先生だから大学正門前で降ろしてやりなさいと言ったのでしょう。何だかほのぼのとした気持ちになりました。中国人は皆共産党が嫌いなわけではありません。
 これも以前書きましたが、ある公園で舞台ができていました。そこでは紅軍を題材にした踊りがあっていました。皆それを楽しそうに見ていました。
 その舞台では都市戸籍農村戸籍を題材にしたコメディをやっていました。もちろんこの二つの戸籍の違いを笑いにしているのです。明らかに共産党の政策をからかっているのですが、誰もとがめたりしません。
 コネが幅を利かせているのも事実です。日本でも同様の忖度がありますから人のことは言えません。それでも公正なことも行われます。
 おじさんの一番弟子が日本の国立大学で博士号を取りました。就職は中国の一流大学に決まったのです。その際コネを背景にする人とおじさんの一番弟子とが両天秤にかけられたそうです。
 しかし、多数の先生がコネのないおじさんの一番弟子を支持してくれて採用されたそうです。大学の先生もコネで採用すると後々自分の大学の評価が下がるのを知っているのです。
 ちなみに一番弟子は四川省の山奥の村出身です。およそ共産党などにコネはありません。おとうさんも普通の会社員です。おじさんも一度行ったことがありますが、これまでもこれからもこの村から博士が出ることは永遠になさそうな村です。
 日本で考えられている中国はほんの一部です。もちろん日本で報道されていることが全くうそだとは思いません。まさに大海の一滴です。
 日本人がこうあってほしいと望む中国と現実の中国は違います。このギャップを理解しないと戦前の二の舞になります。戦前アメリカ人は享楽的だから戦争になればあっという間に降伏すると考えられました。
 しかし、平時は享楽的でも戦時には勇敢な兵士になるのを見落としていたのです。逆に敵をあなどったおかげでアメリカ研究をしませんでした。アメリカは日本文化の専門家を集めて日本人を研究しました。
 日本語専門の軍の学校を作って日本語を理解できる軍人を大量に養成したのです。中国にも人民解放軍の外国語学院があります。寡聞にして防衛大学にそんな学部があるとは聞いていません。反中論が横行する時代は本当の中国を見失う可能性があります。
 明日も授業です。