新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中等諸学校の教師と私学ー戦前のノンエリート中等教員の社会史

 今日も庭の手入れなどをして過ごしました。相場はちょい高で引けています。さて今日は先日読み終わった本の紹介です。以前書いた通り県立図書館から教師についての本を借りてきました。
 読み終わった本の名前は「近代日本の私学と教員養成」(学事出版)です。著者は太田拓紀という人です。この学事出版というのは懐かしい出版社です。
 以前何回か研究発表のまとめを載せてもらったことがあります。「月刊高校教育」という雑誌を発刊しています。さて今回読んだ本でまたいろいろなことを知りました。
 その報告です。この本は何と一冊4800円+消費税ですから5000円を越える値段になります。余程の研究者でなければやすやすと買える値段ではありません。
 中等教員というのは戦前の中等諸学校の教員のことです。中等諸学校とは師範学校・中学校・高等女学校・実科女学校・実業学校などです。
  副題にノンエリートとついているのは、別にエリートがいるからです。中等教員のエリート校というのは高等師範学校です。東京と広島にありました。現在の筑波大学広島大学です。もう一つ帝国大学もエリート校でした。
 中等教員になるには、後文検と言って試験を受けて資格を取る道もありました。
 ノンエリートの中等教員というのは、私学の高等師範部を卒業した教員のことです。一番有名なのは早稲田大学です。現在は早稲田大学教育学部になっています。
 その他東京物理学校(東京理科大)・東洋大学とか青山学院大学とか国学院大学にもあったそうです。何と夜間コースもあったようで、日大がその代表恪でした。
 夏目漱石の「坊ちゃん」の主人公は物理学校を卒業して中学の教師になります。漱石自身も帝大を卒業して中学の教師になっています。
 給与についていえば、中等教員の給与は小学校教員の2倍近くあったようです。卒業学校によって給与に差があったようです。帝大が一番で次が高等師範、その後官立専門学校などがあって私立大学と続いたようです。
 出世についていえば一番が帝国大学で次が高等師範です。ただ帝国大学卒業生で教師になる人は少ないので校長などになるのは高等師範が一番多いようです。
 中等教員にもランクがあって、師範学校が一番上で次が中学以下高等女学校、実業学校となっていたようです。この順で給与も違っていたようです。
 当時の中等教員の異動は全国規模になります。ただ私学出身の中等教員は地元で一生を終えることが多く、高等師範出身者は全国を異動し、ランクを上げていったようです。
 現在では高校教員と義務教育学校居員の給与にはほとんど差がありません。若干高校の方が高いようです。学校の雰囲気は高校と義務教育学校では全く違います。
 どちらかというと高校は大企業、義務教育学校は中小企業みたいな感じです。高校の場合進学率や進学先で評価されます。義務教育学校の場合そんなことはありません。
 今中学にいるので違いが良く分かります。おじさんが教師になりたての頃はさまざまな学歴の先生がいました。まさに帝大卒から高等小学校卒までです。
 高等小学校卒の先生は実習の先生でした。実習教師と言われて、出勤簿でも学科の先生の後です。普通高校の場合はこんなことはありませんでした。
 今は教員の人事異動についての本を読んでいます。読み終わったらまた報告します。明日は忙しいのでブログをお休みします。