「兼好法師」(中公新書)を読む。
今日は専門学校の授業でした。特段変わったことはありません。相場の方も日経平均72円安で値上がりも足踏み状態です。の
ちょうど本屋でこの本を見つけたので早速読むことにしたのです。意外なことが多く分かりました。この本は文学研究というより歴史研究、伝記研究にあたります。
今回読んだ著書では滝口に関連した仕事をしていたけれど正式な職ではなく、一般事務職のような仕事であったと書かれていました。
また出身は鎌倉のお寺の子供であったとされています。当時の名前は「四郎太郎」で父は鎌倉のお寺か北条氏一族の庶務などを扱っており、かつ法体をした人であろうと書かれています。
そういえば徒然草の中で子供だった作者が父に「仏」について聞いた箇所があります。父が僧ではないが、お寺に関する仕事をしていたとするとなるほどと思わされます。
また兼好法師は利殖にたけており、不動産を所有してそれを貸したりしています。また、若いころは京都に北条氏の使いとして派遣されたりもしています。
結構政治ともかかわっていたようです。余り知られていませんが、兼好法師は当時和歌の四天王として知られていました。そういう点では有名人です。
それぞれの立場があるので、直接相手に何かを伝えたり、協議するのは難しかったのです。貴族が武士に何か命令したり、一緒に仕事をする時はその間を取り持つ人がいました。
それが隠遁者です。僧侶となると所属する寺院の立場もあります。隠遁者はそれだけで俗世間から離れた存在とみなされるのです。
つまり武士でも貴族でも僧侶でも庶民でもないのです。ですから、武士にも貴族にも僧侶にも会うことができますし、書状を届けたり、間を取り持つこともできたのです。
歌人というのも強みです。和歌を通して貴族にも武士にも僧侶にも会うことができます。当時和歌ができるというのはあるレベル以上の人にとって必須条件だったのです。
さらに四天王とまで評価された人物であれば、当然皆から信頼されます。兼好法師はこの自由な立場を利用して政界にも食い込んでいたようです。
文学作品としての徒然草が優れているのは間違いありません。しかし、同時に文学者がどのような社会的背景のもとに存在したかを知ることも面白いと思います。
明日も専門学校の授業です。