新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

映画「空海」を見に行きました。

 今日は専門学校の授業で、その後映画を見に行きました。学校から車で10分くらいのところに映画館があるのです。以前からみたいと思っていた映画です。
 原作は文庫本になっていました。中国唐の時代です。空海と白楽天がともになぞ解きをするという想定です。狂言回しとして黒猫がでるのですが、これが案外主人公ぽいのです。
 おもしろいことはおもしろかったのですが、知人に勧めるかといえばそれほどでもありません。底流に白楽天の作った有名な「長恨歌」があるのです。
 というより、玄宗皇帝と楊貴妃の恋の物語をしらなければ余り楽しめません。長恨歌は高校の漢文で学ぶこともあるのですが、内容をすべて覚えているわけではありません。
 ちょうど日本人が西洋絵画を見ても聖書やギリシャ神話をもとにして描かれた絵だと絵の意味が分からないのに似ています。
 竹取物語を中国人やアメリカ人が見るような感じです。日中合弁の作品のようですが、中国人なら長恨歌を知っていますので、映画を見ても分かりやすいと思います。
 たとえば、楊貴妃は高力士によって、殺されます。それは皇帝の近衛兵が楊貴妃の処刑を求めたからなのです。絹の布で絞殺したとされます。そんな場面があるのですが、日本人にはピンとこないでしょう。
 阿倍仲麻呂も出ますが、阿部寛が演じていて何だかミスキャストの気がします。映画では阿倍仲麻呂楊貴妃に恋をする設定ですが、無理があります。
 阿倍仲麻呂李白などと言った当代一流の詩人と交流し、宮中でも高官に任用されたインテリ中のインテリ、文化人中の文化人なのです。
 およそユーモラスな雰囲気の阿部寛に合いません。重みが余り感じられないのです。李白も確かに酒好きでしたが、詩仙とまで呼ばれた雰囲気が映画の登場人物には感じられません。
 まあ娯楽作品としては楽しめますが、前述したように真剣にみるほどのものもありません。空海も宗教者としての雰囲気に乏しいです。
 そのうち映画評もでるでしょうが、55点と言ったところです。サイトでペンタゴンレポートという映画が上映されるようですが、こちらを期待したいです。明日も専門学校の授業です。