「日本統治下の朝鮮」(中公新書)を読んで
今日はこれから忙しくなるので、今ブログを書いています。「日本統治下の朝鮮」にはサブタイトルとして「統計と実証研究は何を物語るのか」とあります。
また帯には「それは収奪だけか」とあります。これまでの日本の朝鮮統治については両論ありました。一つは左派からのもので戦前期の日本政府が朝鮮を収奪したというものです。
これは現在の韓国でも根強い意見です。一方右派には日本が朝鮮の近代化に貢献したのだ、韓国は日本に感謝すべきだというものです。
中国においても近代化政策は封じられていました。日本が明治維新を経験して急速な近代化に進んだのと対照的です。
もう一つ意外だったのは、日本政府が膨大な資金を朝鮮に投入したことです。日本側も朝鮮の近代化を進めようという意図があったようです。
それによってそれまで存在しなかった近代工業が成立し、地下資源の開発が進んだのも事実です。鉱工業が進んだのどうも北朝鮮側だったようです。
ところで、日本が朝鮮を収奪したかですが、著者はその事実は認められなとします。朝鮮は輸出相手としては規模が小さいし、資源を収奪して日本に送った形跡も余りないとします。資源はそのまま朝鮮の工場や満州の工場に送ったようです。
それでは近代化に貢献したかと言えば、工場などが多い北側では現在工業が近代化していないし、当時農業中心であった南側の韓国で工業が大発展しています。
つまりある程度近代化に貢献したが、だからと言って決定的な要素になったともいえないのです。台湾でも戦前期の日本より蒋介石率いる国民党政権の時代に大きく発展しました。
統治者が誰であったかではなく、さまざまな事情がからみあって近代化が進むのだというのが著者の意見のようです。なかなか読み応えのある本でした。
今日はいまから買い物など忙しいです。