新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

知の効用ーなぜ勉強しないのか

 今日も日経平均は値下がりです。どうも9月に入ってずっと値下がりしているような気がします。ところで、今勤務している中学のある町の学力テストの結果が出たようです。
 全国平均よりかなり低いようです。さらに言えば県内でも低いランクのようです。町のスローガンが学力向上を目指すですが、それと真逆の結果がでています。
 普段の勉強への取り組みの姿勢を見てもあの点数は納得できます。学ぶことに全く関心がありません。おじさんが子供の頃は勉強ができないことは恥でした。
 ですから点数の悪い答案は鞄の底に隠して親に見せなかったものです。隣の○○ちゃんはこんなに勉強が良くできるのにあんたはと比較されたものです。
 兄弟でもお兄ちゃんはあんなにできるのにあんたはと言われました。現在勤務する中学も以前勤務した中学もそんな雰囲気はありません。
 勉強ができないことはそれほど恥ではないのです。以前勉強ができる子が仲間はずれにされたり、いじめられたりすると聞いたことがあります。だから答えが分かっても一人だけ答えると目立つので言わないと聞いたこともあります。
 最近は親も勉強しなさいとか成績が悪いことをそれほど気にしないと聞いたこともあります。知の効用つまり勉強することが役に立つあるいは良いことだという観念が薄れたのでしょう。
 原因の一つは今話題の格差社会です。高い収入を得るためには勉強が必要です。もちろん自営業で高収入を得ている人もいますが、専門職あるいは大企業サラリーマンの方が高収入の人が多いでしょう。
 地方それも郡部には大企業もなく専門職で高収入を得ている人も少ないです。郡部では保護者の大変が農業・小規模商店・中小企業に勤務する人です。
 高度成長の時に有鬚な人は大学に進学し都会で働いているはずです。そうでなくても県内の都市部に住んでいるでしょう。
 親御さん自身が高校くらい出ればいいだろうと思っていたり、自分たちの仕事で大変で子供のことまで面倒みきれないと思っているのかもしれません。
 もう一つは勉強ができても豊かになれないという風潮も影響しています。マスコミで大学を出ても就職できないという話がでます。高度成長期にはとにかく大学さえ出れば大企業に就職できました。
 今はある程度以上のレベルの大学でないと大企業への就職は難しいです。難関試験だった司法試験も弁護士の数が増えて不人気です。かって大儲けの代表だった歯科医も大変です。
 専門職で間違いなく高収入なのは医者だけです。昔のスローガンの末は博士か大臣かを信じている人は誰もいません。
 とても福沢諭吉の時代のように「学問のすすめ」を読みなさいともいえません。学問の府である大学の教員自身が自信をなくしています。
 しかし、学ぶことを尊ばなくなった国に未来はありません。以前書いたように中国の高校生は必死に勉強します。勉強する以外に今の境遇から抜け出すことができないからです。
 中国の入社試験の応募資格に英語の資格が書かれています。英語何級以上、○○を履修していることなど細かく書かれています。これも以前書きましたが中国の大学生は学部学科を問わず語学力が求められます。
 農村戸籍から都市戸籍になるには都市で就職する必要があります。そのためには学歴が必要なのです。知の効用の面でも日本は中国に抜かれるかもしれません。
 明日は土曜日なのでのんびり過ごします。