新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

三角関数論争に思うー実用知識と教養

 今日は久しぶりにのんびり過ごしています。今まで歩いて20分くらいのところにある本屋さんに行って帰ってきたところです。
 今日は何について書こうかと思っていました。対韓国問題もいいなあと思っていました。サイトを見てみると三角関数論争が出ていたのでこれについて書こうと思いました。
 発端はお騒がせの橋下氏です。三角関数など社会に出て何の役にも立たないからやめろというものです。測量技師でもならない限り三角関数は不要です。
 というより高校の数学は入試以外ほとんど社会では不要です。その点でいえば高校の科目はほとんど社会では不要なのです。
 もちろん大学の理系に行くなら物理・化学・生物の知識は必要ですし、英語や数学の知識も必要です。国語の知識がないと論文も書けません。
 逆に文系の大学に進学するとしても数学や英語、国語に社会は必須です。国語と言えば、皆さんお嫌いな文法ですが、実は法律学の学習には必須なのです。
 経済学部では数学が必須です。となると古典などはどうでしょう。ある本で読んだのですが、ある国で古典など現実生活に意味がないと言って学校で教えることをやめたそうです。
 するとその後の学生の成績ががくんと落ちたので復活させたようです。話を三角関数に戻しますが、実は高校の数学は頭の体操として極めて有効なのです。
 論理的思考力の訓練になります。図形の証明などまさにそうです。ある法則に則って論理を積み上げていくのです。法律の世界に極めて近いです。
 また高校の数学は抽象世界です。記号の世界になります。世の中、具体的な事象ばかりではありません。コンピューターの世界はまさに抽象の世界です。
 古典学習は先人の知恵を学ぶことです。発展著しい中国でも古典特に漢詩の世界は大変重要です。小学生向けの漢詩暗唱大会もあります。中国では本屋さんでも古典が山積みされています。小学生向けの有名な100の詩を掲載した本もあります。
 最後に大学の時ゼミ教官から聞いた言葉を書きます。大学紛争の時代おじさんは国語学(文法学)のゼミにいました。演習の時、先生に、こんな昔の文法を学んで社会の役に立つのでしょうかと聞きました。
 先生は、すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなります。真理は永遠に残りますと仰いました。また大学は真理の探究の仕方を学ぶところです。役に立つことだけを学ぶなら専門学校に行った方がいいですと言いました。
 今でも同窓会に行くと高校時代学んだ授業の話を教え子がします。高村光太郎のレモン哀歌の授業を覚えている教え子さんもいました。
 やはり短期的な目で見るのでなく、長い人生で考えると理解できなくても三角関数を学ぶことに意義があると思います。明日は日曜日なので教会です。