新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日中教育比較(授業報告)

 今日も朝から雨です。昨日は一日中青海での地震に関する報道ばかりでした。日本と違って、中国では全てのテレビ局がこの放送を流すのです。それから哀悼のために娯楽は禁止になりました。と言っても中国のことだからそれほど完全には守られないだろうと思ったら、近所のネットカフェもお休みになっていました。政府の覚悟がよく分かりました。
 さて、今日は本来ならスピーチコンテストの報告を書く予定だったのですが、スピーチコンテストの代表選抜会が午後4時過ぎでその後お食事会なので、帰って書くと遅くなるのでその報告は明日にしました。代わりに昨日回収した日中教育比較のレポートの結果について書きます。
 この授業は「日本概況」(日本事情)と呼ばれるもので、日本のことを中国の学生さんに教えるものです。去年もやりました。今年は後期の半分だけ授業することになったのです。授業内容は「日本の精神文化」「日本の教育制度と教育問題」「日本の社会保障社会保障に関する問題」です。
 今回学生さんに与えた課題の一つは日本の教育で一番関心のあることについて書くことです。(中国の大学の成績評価は出席点と課題点と試験成績によってつけます。)これについては、「いじめ」や「不登校」の問題が一番多かったです。中国では日本のような「不登校」や「いじめ」の問題はないのです。多分国民性の問題だと思います。日本人の特徴はとかく群れたがるところにありますが、中国では自分は自分の個別性が重視されます。だから、パジャマを着て繁華街を歩いても平気なのです。(日本ではじろじろ見られますが、こちらはそんなことはないのです。おじさんの街でもパジャマの人がいます。)
 次に中国の教育についても書いてもらいました。ここで出てきた問題は、去年総領事館主催の新年会で民間企業の人が言っていたことと共通します。そして、かっての日本の教育とも共通し悪名名高い「ゆとり教育」とも共通するのです。簡単に言えば今中国の教育は「受験教育」一点張りなのです。全ては大学入試に合格することにつながっているのです。学校では主要5教科だけが中心でそれ以外は付け足しのようなものです。
 ここまではかって日本にあった「受験戦争」と良く似ています。おじさんの頃は「受験戦争」の真っ盛りで「四当五落」(四時間しか寝ない者は合格し五時間寝たら不合格の意味)などの言葉がはやりました。また「詰め込み教育」とか「暗記教育」という言葉もありました。今の中国は全くそれと同じなのです。
 そのため、大学卒業生は頭が固くて融通性が効かないとか、自分で考えてプランを立てたりするのが苦手で、気がきかないとも言われます。実は受験勉強は中国では大学入学後も続くのです。日本語学科であれば、日本語の資格試験に合格しなければなりません。大学で体験したことや大学で身につけたコミュニュケーション能力は余り評価されません。沢山資格を持っていることが大事なのです。また作文大会やスピーチコンテストなどで入賞したことも就職の上で大切なのです。(就職試験の際、証明書や賞状のコピーをつけます。)
 それに恐ろしいほど英語教育をやります。日本では信じられないでしょうが、中国では朝教室で大学生が英語を朗読しています。英語の授業の教室ではほぼ全員が大声で英語を読んでいるのです。中国では小学生から英語を勉強します。大学でも専門科目と同じくらいかそれ以上の英語の授業があるそうです。(特に文系)
 ですから、マンションの隣の部屋の子供(小5)は中国語の分からないおじさんに英語で話しかけてきます。それもきれいで流暢な英語です。繁華街のマクドナルドの店にはどこでも英語が流暢に話せる店員(多分店長)がいますし、ピザハットやケンタッキーでも同様でしょう。中国銀行の行員で外国為替担当の社員も話せます。
 今中国では大学をでないと豊かにはなれません。ただ、規制がゆるいので、日本語が人気だとなるとどのような大学でも日本語学科を作ります。(工業大学でも水産大学でもあります。)そのためすぐ過剰になってしまうのです。日本語を学んでもそれを活かす場所は少ないです。おじさんの学科の学生さんもほとんど一般企業へ就職して日系企業への就職は少ないです。
 今日は午後3時半のスクールバスでD区(新しいキャンパス)へ行きます。明日は休業日でのんびり過ごします。