新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

日中大学教師比較

 今日まで休業日です。日本にいた時、服務について言われたのがこれです。休日は休みの日ですが、休業日は授業のない日のことです。だから夏休みは休業日であっても休日ではないのです。以前の日本の学校は休業日=休日だったのですが、今は違います。それでも大学は長い間休業日=休日だったのですが、おじさんの元同僚で某高専教授のミヤジイに聞くと、休業日でも出勤しなければならないそうです。
 そんなことを思いながら日中の大学教師の生活について比較したいと思います。以前書いたように、まず中国の文系の教師は個人研究室がありません。主任の先生は学科長室のようなものがありますが、普段使いません。それは中国の教師は(中学・高校も含めて)基本的に学内に住むようになっているからです。住むと言っても日本のように官舎(社宅)に住むのでなく、自分で学内のマンションを買って住むのです。
 転勤すれば、そこを人に貸します。学生などが、宿舎(寮)住まいを嫌って住んでくれるのです。(大体4人で1室を借ります。)また退職してもそこに住むのです。ですから、スクールバスのバス停には退職教師が死亡した記事が出ています。(お葬式の場所や時間も)研究も自分の家でしますし、もちろん昼食も自宅へ帰ってとります。何と昼休みが2時間半(12時~2時半)まであるので昼寝も十分できます。学生も同様です。午前中の授業が終わると、昼食をとって部屋に帰って昼寝をします。それから授業開始です。小中学校も同様です。以前授業中に居眠りをしないのは中国の学生だと書いてありましたが、当然です。みんなすでに十分昼寝をしているからで、中国の学生がまじめだからではありません。
 研究室がないので、先生方と会う機会がありません。今学期が始まって2ケ月経過しますが、一度も会っていない先生が数人います。中国人の先生は定期的に会議があっているようです。ですから先生同士のコミュニュケーションが取りにくいです。おまけに授業のない日は大学に来ないし、授業が終わればすぐに帰ってしまいます。これはどこの学科でも同様のようです。(もちろん教師休憩室はありますが、職員室はありません。)
 それと、日本語学科は専門性が低いせいもあって、それぞれの先生の専門がよく分かりません。先生の前歴を聞いても、先生によっては日本語・日本文学以外の専攻の先生もいます。例えば、英語専攻や経済専攻などです。そのような先生も日本に長くいて日本語が話せて読めるので先生をやっているのです。
 そのため、卒業論文指導でも様々な分野の学生を送ってきます。おじさんは国文科の卒業生で専攻は日本語学です。もちろん、日本文化や日本文学についても指導できます。普通であればこの3つのうちどれかを専門に指導するのですが、指導している学生は日本語学あり日本文学あり日本文化ありでばらばらです。日本人教師でも、おじさんの大学は2人が国語関係(国語教師)ですが、もう一人の人はフランス文学専攻です。
 他の大学でも法学出身の人がいました。日本語が話せればだれでも日本語教師ができそうですが、そんなものではなさそうです。作文指導などでは国語教師以外の人は相当困っているようです。添削はできるのですが、学生からなぜこれではダメなのかと質問された時説明に困るのです。日本人なら絶対にしない間違いをするからです。とくに助詞が苦手で「の、が、は、を、に、」などの区別が間違いやすいです。
 以前日本語教師はやはり国語教師出身の人が良いと書いたら、そんなことはないとのコメントがありました。もちろん国語教師以外の専門の人でも優秀な日本語教師はいますが、一般的には国語教師出身の人が良いと思います。ただ国語教師は定年後でも仕事が多いので(高校なら予備校や非常勤講師)なかなか中国まで来て先生をやってくれる人は少ないです。
 いよいよ明日から今週の授業開始です。