新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国の社会保障と医療状況

 今日まで休業日です。昨日から卒業論文の中間報告を求めているので続々と卒業論文の途中経過を送ってきています。おじさんの担当は6人です。少ない先生は2人しか学生さんも持たないのでおじさんは大変です。ちなみにおじさんの大学の日本語学科では一番担当する学生が多いです。学生が多くてもかまわないのですが、問題はきちんとやらない学生がいることです。ご多分にもれずおじさんの担当学生にも一人います。
 男子学生が2人女子学生が4人です。一番進んでいる学生はすでにA4で15枚程度書いています。もちろんすべて日本語で書いています。目次・参考文献一覧なども含めて18枚くらいが標準なので、この学生さんなどはほとんど出来上がっている状態です。大半の学生さんは目次から序論程度のところを書いています。
 さて今日は中国の社会保障です。以前日本にいた時、お金がなくて病院にかかれない農村の子供のドキュメントがあっていました。それで授業で日本の社会保障(「日本概況」)についてやったので、レポートとして、学生さんに、自分の家の社会保障について調べて報告するよう宿題をだしました。今日はその結果を報告します。
 農村部では「農村合作医療」というのがあって、年20元(約300円)の個人負担で、病気の場合県レベルの病院(中国の県は日本の市くらいの規模です。市立病院とか町立病院のイメージです。)の場合2割の個人負担なのだそうです。後述しますが、中国では病院の医療レベルによって同じ病気を治療するのでも値段が違うのです。
企業や政府に勤務する人はもう少し高額の医療保険のようです。月100元(約1500円)程度個人が出しているようです。企業や政府の所在地は都会部なので、医療費も高いと思います。
 年金は月100元程度掛けて女性は50歳から男性は60歳から年に2000元(約3万円)くらいもらえるようです。もちろん月に1000元(1.5万円)掛けている学生さんの家庭もありました。これだと父は60歳から母は55歳から3500元(約5万円)くらいもらえるそうです。大学卒の初任給が月2000元から2500元(3万円~4万円)程度の国ですから、月1000元の年金負担は相当大変だと思います。多分政府か大企業に勤務している親御さんでしょう。
 日本以上に年金も医療も格差が大きいようです。農民の場合現金収入が極めて少ないので、医療費の負担は大変だと思います。日本の都市近郊農家だと会社勤めと兼業できますが、内陸部では企業が少ないので専業農家か出稼ぎ(農民工)しかないのです。政府や学校、大企業の場合は現金収入が多いので生命保険会社の個人保険に加入する人もいるようです。
 ところで病院はどうなっているのかと言うと、日本と同様農村部ではほとんど無医村状態です。村の中心に小さな診療所がある程度です。中国は何と言っても国土が広いので、ある程度重い病気だと町の中心まで行かなければ治療は難しいと思います。村の次は鎮と言って日本の○○郡のような単位があります。ここにはもう少し大きな診療所があります。ただ手術を伴うような場合は県レベルの病院に行かなければならないでしょう。
 おじさんの街は都会なので大きな病院がいくつもあります。市(といっても国の直轄市で日本でいう政令指定都市 省レベルの権限があります。ちなみに市の党委員会書記の前職は国務院の商務部長・経済大臣です。)なので、人民病院(市立病院)が完備されています。第一人民病院などはビルのようです。
 それに医科大学付属病院と軍医大学付属病院があります。どちらも大きなビルのような付属病院です。医科大学の付属病院は外科病棟だけでも30階建てのビルです。おじさんがケガをした時は軍医大の附属病院に行きました。しかし、治療費もべらぼうに高いです。唇と目の下を縫って歯の治療をしただけで2000元(3万円)とられました。前述したように、大卒の初任給と同じなのです。日本で言えば20万円近くとられたことになります。それでも、この病院はいつも満員です。
 町の診療所のようなものもありますし、個人経営の大きな病院もあります。美容整形も盛んだし、近視の外科手術もやっています。テレビでも病院の宣伝をやっています。(もちろん個人病院だけです。)そう言えば医科大付属のこども病院もあって、そこは大盛況です。
 都会では医療機関は多いのですが、日本ほど医療レベルは高くないようです。おじさんの大学構内にも付属病院があって簡単な病気なら診てくれます。大学の先生は風邪くらいなら行くがそれ以上の場合は、前述した大学病院や軍医大病院に行くと言ってました。日本の領事館や企業の人達もやたらな所で診てもらうわけにはいかないと言っていました。別の大学の先生で、調子が悪い人は診療のために一時帰国すると言っていました。海外ではまず健康が一番気になるところです。ちなみに歯科はもっと医療レベルが低そうなので、絶対に中国ではかからないよう気をつけています。(これも大学付属の歯科病院がよいそうです。)
 明日と明後日は授業です。その合間に卒論指導をしなければなりません。