新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

過去を振り返ることの大切さ

 今日はおじさんの街では終業式だったようです。と言っても確認したのは小学校だけですが。大学は期末試験が終われば自動的に夏休みになります。卒業生は7月3日までに宿舎を出なければなりません。ですから大学では今臨時の郵便局(荷物の配送)や宅急便の会社のテントが出ています。
 何とおばさんたちが学生さんから安く買った衣類や靴に少し上乗せして堂々と大学構内で露店をやっています。さすがに学生さんたちは帰省のために品物を売る人はいません。中国のおばさんたちの逞しさには感心します。いらない物は廃品回収場所に持って行きます。ほとんどの学生が就職を期に新しいパソコンを購入するので古いデスクトップのパソコンなどが出されています。
 おじさんも急に日程が変更になって来週の月曜日(7月5日)帰国することになりました。大慌てで帰国準備を進めています。飛行機代も上海万博のせいで高くなっているようです。次の中国に来るのは8月23日(月)です。やはり土日は飛行機代が高いようです。
 さて、日本の政治は相変わらず混乱しています。でも仕方のないことです。小沢さんたちのとっては選挙に勝つことが全てですし、管さんにとっては選挙が終わった後のことを考えにいれなければなりません。消費税のことでも、選挙前に何も言わなければマニュフェスト違反だと野党に攻められるし、入れれば選挙に不利だし負ければ管さんがあんなことを言うからだということになります。
 とろこで今日は日本人は過去を振り返らないことについて書きます。中国のテレビを見ると中華民国成立以前のドラマも多いです。三国志はもちろん清の時代や明の時代、さらには元(ジンギスカン)の時代のドラマもあります。さらには、日中戦争国共内戦のドラマを多いです。
 日本では、過去を振り返るのはよくない、未来志向こそが大事だとされます。そのため過去を学ぶのは歴史の授業の時だけです。年長者も過去について語るのは、後ろめたさを感じています。それに過去とはどのくらい前なのかも難しいです。保守派の人は戦前の日本を理想としているようです。安倍元総理などは、戦後改革を否定さえしているのです。
 男女別姓や外国人参政権反対の人も同様な考えのようです。しかし、ちょっと時代を前に戻せば、全く違った考えになります。明治以前にはそもそも日本人は正式な姓を持たなかったのですから、男女別姓にすると家族がばらばらになるというのもおかしな話です。姓がなくても江戸時代の家族がばらばらであったとも思えません。
 江戸時代は古すぎるというなら、外国人参政権はどうでしょう。外国人が日本の国政に参加することは、日本の利益に反するという意見です。一見もっとものようですが、ちょっと歴史を思い出してもらえればよいと思います。保守派の人が大好きな大日本帝国憲法を制定した時、お雇い外国人が大きく関与したことは、歴史の本に書いてある通りです。
 大日本帝国憲法伊藤博文プロシア憲法を参考に、ドイツ人の法律学者の意見を参考にして作ったと学びました。また、敗戦時にもアメリカの多くの法律家が日本国憲法を作ったり、各種の税制や社会制度を作る上でアドバイスしました。さらにさかのぼれば、徳川家康の外交顧問も外国人(ヤンヨーステン・ウイリアムアダムス)だったし、鎖国時代もオランダ風説書を外交の参考にしました。
 さらにさかのぼれば、古代には帰化人と呼ばれる人達も政治に参加しました。民間企業では日産のゴーン氏もいるし、外国人の社長など珍しくありません。スポーツの世界でも監督で外国人などザラです。このように言えばまさに、今は時代が違うと言われるでしょう。日本人のことは日本人でやるのだと。しかし、現代は官より民の時代だと言われます。そう主張する人も多いでしょう。
 そうなれば、民ではすでに外国人が指導的な立場に立っています。そして、ゴーン氏が社長だからと言って、日本の国益に反する活動をすることはないでしょう。外国人のサッカー監督が自分の母国を勝たせるために、わざと日本のチームを負けさせたりすることはないのは当然です。
 民族派特に戦前が素晴らしかったという人は、その時代へ戻ることをお勧めします。そうすれば、いかに現代が恵まれた時代か良く分かるでしょう。現代は女工哀史もなければ農村の身売りもなく、昼ごはんが食べれず水道の水を飲んで過ごす小学生もいません。戦争に駆り出されて戦死することもなく、結核などの病気で死ぬこともありません。民族派の人はきっとこのような時代こそ、人間が皆協力しあって美しく生きていけるのだと考えているのでしょう。
 逆説的ですが、自民党も高度成長によっていかに戦前の苦しい生活から抜け出せたかを宣伝し続けていれば政権から滑り落ちることもなかったでしょう。(中国政府はちょっとそのようなことをやっています。)高度成長の源泉こそがアメリカの戦後改革にあったのは、民族派の人でも認めないわけにはいかないでしょう。なぜなら、戦前は国民の貧しさを戦争と海外進出でしか解決できなかったのに、アメリカの戦後改革は戦争も海外進出もせずに史上最高の豊かさを作りだしたからです。(日本人が優秀だったからと言うなら、戦後の日本人は優秀で戦前の日本人は優秀でなかったということになります。)
 明日は帰国準備をします。