新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国では書けないこと(3)・・軍事編・・

 昨日は夕方から雨で朝まで続きました。中国のおじさんの街は猛暑のようです。四川省のプールが満員になっている写真が新聞に掲載されていました。本当は7月10日に帰国する予定でしたから、そのまま中国にいたら、一日中クーラーをかけっぱなしであったかもしれません。
 さて今日は選挙の日です。おじさんは以前書いたように、公職選挙法の谷間にあって、在外選挙ができませんでした。このところまじめに選挙に行っていたので残念です。また中国に渡ったらすぐ在外選挙の手続きをします。今の選挙予想ではいつ解散総選挙が行われるかわからないからです。
 民主党が今回の負けて参議院のねじれが起るのはほぼ確実なようなので、民主党政権運営に苦しんで苦しまぎれに解散総選挙にでるかもしれないからです。
 さて 、今日は良く保守派の政治評論家の言う中国脅威論について書きます。このような論を書く評論家たちは中国の本当の姿を知らないのだと思います。表面的な政治ニュースだけを見ているだけでは本当のことは分かりません。あるいは、本当のことは分かっているのに、仕事として書いているのかもしれないと思いだしました。
 中国軍備強化脅威論なども同様です。防衛省防衛駐在官を中国に置いているし、情報本部もあるのですから、公開された情報だけでもかなり多いので真実を知っていると思います。日本では余り知られていませんが、中国では軍事報道専門の番組がいくつもあります。もちろんおじさんも見ているわけですから、防衛省の関係者も見ているし、録画して分析もしているはずです。
 おもしろいのは、その軍事報道番組は政府提供ではなく、某酒造メーカーの提供です。もちろんアナウンサーは軍人さんで、制服から見て海軍の女性将校と陸軍の男性将校です。新兵器の潜水艦や軍艦、戦闘機などもでてきます。また訓練の様子もでます。それを見て分かるのは、中国の軍隊は基本的には内向きの軍隊です。もちろん各種の艦艇を持っていますが、外征などできる補給能力はありません。尖閣諸島などの領土問題がありますが、その周辺で自衛艦と海戦などできません。
 中国は現在ソマリア沖に海軍を派遣して、遠洋での運用能力の向上を目指しています。中国海軍にとってこれが初めての遠洋作戦なのです。このソマリア沖での海軍の活躍をしばしば報道されます。ちょうどう開国当時、咸臨丸が初めてアメリカに到着したころの日しどうりょ本海軍?に似ています。海軍の場合遠洋で行動するには相当の経験と設備が必要です。
 よく日中の海上勢力が衝突したらと言われますが、おじさんの見るところワンサイドゲームで日本の海上自衛隊の勝ちです。海上では精神力(中国風に言えば政治的指導力)より、装備や乗員の訓練の練成度が全てを決定します。航空自衛隊でもそうです。長い間蓄積された経験いわゆるノウハウのようなものは、一朝一夕で手に入るものではありません。
 それから、どの世界でもそうですが、其の国の文化が軍事力にも大きな影響力を与えます。将軍がアメリカ人で将校がイギリス人で下士官が日本人で兵士がドイツ人の軍隊があったならば世界最強の軍隊になるだろうと言われます。これはその国の文化をよくあらわしているからです。
 中国の弱みはメンテナンスに弱いことです。民生だけでなく、これは技術文化の問題だと思います。日本人は一つのものを大事に大事に使います。古くなったからと言ってすぐに捨てたり、壊して作り直したりしません。職人わざのようなものが尊重されます。ですから、日本製は故障せず安心して使うことができるのです。
 しかし、中国の技術文化は、とりあえず使って悪ければ修理すればよい。また修理できなければ捨てるか壊せばよいということになります。そのうえ、目に見える部分はとてもきれいですが、見えない部分については余り重視しません。日本の技術文化のように、見えないところこそ技術が分かるなどということはありません。
 また、使う人の立場になって考えるということもありません。作る側の論理が優先されます。このことを知っているので、最新兵器については確かに優れていると思いますが、いざ条件の悪いところで使うとなるとメンテナンスが行きとどかず稼働率がダウンすると思います。現代の兵器はとても精巧なので特にそうです。
 日本では自衛官の一般能力(数学や理科の知識)が高いのですが、中国では日本ほどではありません。高級技術者はレベルが高いのですが、下士官クラスになると技術能力で差がでるでしょう。日本でいう、あの人は○○屋さんだから、のようにあの人に任せたら修理はOKなどということはありません。なぜなら、中国では能力のある人は現場仕事より、企画や設計を望むからです。現場でどんなに能力があっても尊敬されることはありません。(儒教国家の特徴です。)
 ですから、見も知らない地域で外征をすることなど不可能だし、中国も考えていないと思います。最新兵器が続々出てくるので日本人は中国脅威論を感じていますが、中国が日本を攻める意思は全くないと思います。そんなことをすれば、まさに中国は崩壊するでしょう。(経済制裁などで)
 中国としては、軍拡をやっているので侮れないと近隣諸国(日本やインド・台湾・韓国など)やアメリカに思わせる必要があるのです。ちなみにロシアについては、中ソ論争などもありましたが、報道などを見ると好意的です。これも意外でした。おじさんでもこのくらいのことが分かるくらいですから、アメリカの情報機関や日本の情報機関も分かっているはずです。しかし、それを言ってしまえば、予算が減らされるのでそれぞれの組織防衛のため対中国脅威論を言っているのです。
 ツマクマも中国の軍備は張り子のトラだと言っています。女性の直感の方が高度な情報機関の分析より当たっているかもしれません。もちろんツマクマの根拠はおじさんが書いた技術文化論に基づいているのです。なぜならそれは生活実感だから正確なのです。
 今日は二女達一家がきています。午後には帰ります。今は買い物中です。中国の軍事問題をまさか中国で書くわけにもいかないので、ここで書いています。明日は当然選挙結果の分析です。