新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

あなたの知らない不思議な中国

 今日はとうとう夏日になってしまいました。週前半の大雨もすっかりあがり、今日は完全な夏日です。昨日から来ていた二女一家は海水浴に行きました。おじさんの自宅から車で40分も行けばきれいな海水浴場があります。そこは外海(湾や入り江ではない)に面していて、日本海まで繋がっています。ですから、冬は大変な荒れを示します。台風の時もすごいです。かって万葉集の時代にもこの沖合を船が通ったし、かの遣唐使もこの沖合を通ったようです。
 さて、今日から何回かマスコミが報道しない日本人がほとんど知らない(おじさんも中国に行くまで知りませんでした。)不思議な世界について書きます。今日はタイトルに書くと、中国の公安局が追跡して読んでいると困るので書きませんでしたが、人民解放軍について書きます。
 人民解放軍は日本の自衛隊アメリカ軍とは違った面があります。大学の先生などの話を聞いていると(もちろん100%ノンポリの研究者)人民解放軍は人民のための軍隊だと話していました。別の先生や学生さんは、人民解放軍は市民に人気がありますよと言ってくれました。(以前旅行中に会った将校の方もとても立派な方でした。言葉は分かりませんが、物腰やガイドの方の話しから判断して。)
 実際は人民解放軍の兵士を街で見かけることはほとんどありません。日本のおじさんの街にも自衛隊の基地があります。(陸上自衛隊の駐屯地)中国のおじさんの街にある基地は、そこの雰囲気より少し厳しいかなというくらいです。しかし、バスから見えるので観察していると、どうも解放軍の家族の人も基地内に住んでいるようです。ごく普通の主婦のような人や子供連れの人が基地の中に入っています。
 別に立哨の兵士(この兵士は彫像のようにピクリとも動きません。)はとがめるわけでもなく、証明書を見せるでもありません。おじさんの街には基地のほか軍事管理区域というのもあります。バスからみる限り新聞社の建物しかないのですが、なぜそこが軍事管理区域かわかりません。(そこにも兵士が立っていますが、基地ほどきちんとはしていません。)後、軍医大学と総後勤工程学院(軍の業務学校)などもあります。
 さて、人民解放軍は軍隊のほか警察を持っているのはご存知ですか。武装警察(武警)と言います。普通の警察は人民警察(民警)と呼ばれます。武装警察と言っても普段その姿を見ることはあまりありません。一度モノレールの駅でサブマシンガン自動小銃)を持った武装警察の一隊に会いました。モデルガンのようでしたが、そんなはずもないので本物です。制服は普通の軍人さんと同じですが、ワッペンに武警と書いてあります。(民警は非武装と聞いたのですが、繁華街で拳銃を持っている民警の警察官も見ました。)
 ここまでは日本でもときどき報道されるので知られている通りです。ところが意外な分野も人民解放軍の一部なのです。中国の軍事費について報道されますが、日本でもこの分野まで含めれば軍事費も相当アップすると思います。それは消防組織です。日本でも全国津々浦々消防署があります。これは地方自治体の管轄下にあって、消防関係予算として計上されています。中国ではこれが全て解放軍の一分野なのです。
 中国はご存知のように国土がけた外れに大きいので消防関係予算も膨大だと思います。これは中国に行ってしりました。それからもうひとつ意外なものがあります。以前から聞いたことはあったのですが、テレビで見てなるほどと思いました。
 これは何のことだと思いますか。空軍総政治部文工団とか海軍総政治部文工団とかです。テレビの音楽番組などに登場します。中国は公的な組織には共産党の委員会があります。軍隊も同様です。そこには政治委員と言われる人がいます。その総元締めが総政治部です。そこに文工団というのがあるようです。
 これは中国のテレビドラマを見るとよく分かります。抗日戦争(日中戦争の中国の呼び方)や国共内戦時に兵士を激励したり慰問したりした芸術団(グループ)がテレビドラマの中に多く見られます。人民解放軍は農村を中心に活動したので、このような芸術団の歌や踊りを通して農村の字が読めない人たちに、自分たちの正当性を宣伝したのだと思います。
 つまり文工とは文化工作のことなのです。文化工作(歌や踊り)重視する伝統が現在でも残っています。そういえば、おじさんがある時公園の舞台で繰り広げられた演劇を見ましたが、そこでも解放軍の前身紅軍の活躍を演じていました。(もちろん街の素人さんが役者です。)首領様の国と違って強制されてやっているわけではありません。その後にあった、漫才では(中国では何というか知りませんが)のような観客が大笑いするコントでは、明らかに農村戸籍都市戸籍のことを話題にして笑っていました。(通訳の学生さんの話)
 旧日本陸軍の慰問団とは違い、軍隊内部の組織として紅軍の時代から文工団はあったようです。その伝統から軍服を着て歌をうたう歌手(それも人気歌手)も多くいます。軍楽隊のように胸に金モール(飾章)をつけています。それに勲章の略綬(勲章の代わりのつける簡単な徽章)を5列くらいつけている人もいます。
 昔は正式な軍人さんだったようですが、今は文官(日本でいう防衛事務官)なのだそうです。これはおじさんが読んだ中国軍人の階級章で出ていました。(街でみる軍人さんの位を知るため中国の本屋さんで調べました。)
おまけに、人民解放軍には芸術学院もあるそうです。(もちろん外国語学院もあります。)普通軍隊と言えば、通信学校とか整備学校とか考えますが、中国は違うのです。
 新疆ウイーグル地区には開発兵団と呼ばれる屯田兵(軍隊でありながら、地域を開発する仕事もする。)のような組織もあります。この地区のテレビ局はその開発兵団の名前を使っていたような気がします。また、当然のことですが、解放軍の病院もあります。(日本でいえば自衛隊中央病院のようなもの)おもしろいのはおじさんの街にあるのは、別名「和平病院」をよばれ、何と堂々と美容整形を売り物にしています。
 このように、日本のマスコミ報道は中国の軍拡の話ばかりですが、中国に2年市民と同じ目線で暮らすと別の中国人民解放軍の姿が見えてきます。せっかく見聞きしたことがらなので、ぜひ読者の皆さんに知ってもらいたかったです。明日は久し振りに日本の教会へ行きます。