新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

不確かな時代(経済編)

 今日も相変わらずの夏日です。中国から帰ってきた1週間目だけ豪雨で後は夏日です。日本での生活も3週目を迎えました。日本での生活もだんだん慣れてきました。休暇中なので家の仕事を手伝うか、本を読むくらいしかすることはありません。家の仕事はし始めるときりがありません。40年近く朝7時ころ家を出て夕方6時頃に帰ってくる生活をしていたので、毎日家にいるのは苦手です。
 
 さて株価は少し戻してきましたが相変わらず先行き不透明です。株価だけではありません、政治も含めて社会全体が不確かな時代になってきました。おじさんは今暇なので、ヤフーの政治サイトをよく見ます。それに本屋さんなどで経済雑誌エコノミスト東洋経済・ダイヤモンドなど)を読みます。週刊誌は買うと大変なので立ち読みです。
 
 その他月刊の総合雑誌(世界・中央公論文芸春秋など)も立ち読みします。そのために本屋に行く時は老眼鏡も用意していきます。ヤフーの政治サイトや雑誌などをいくら読んでもこれからどうなるのかさっぱり分かりません。全てが対立的なのです。二項対立と言ってもよいでしょう。
 
 今社会を暗くしている一番の原因はデフレです。しかし、デフレ対策ひとつを取り上げても全く異なった意見になります。ある人は、さらに日銀が金融緩和をしてどんどんお金を市中に出すべきだとします。インフレターゲットを設けて、インフレになるまでお金を発行しろともいいます。
 
 また一方ではインフレターゲットをデフレ対策で使った国はないとします。おじさんにすれば、現在のデフレは市中にお金をいくらばらまいても、お金を使う人はいないと思うのですが。なぜなら今のデフレは安い外国の賞品が入ってくるからでも、買いたいものがないからでもなく、市民の収入が低下しているからです。
 
 金利を上げて年金生活者の預貯金が増えるようにするか、労働者の賃上げをするか、派遣労働者正規雇用にして収入を安定させるか、公共事業を増やして地方の建設業界を潤すかしなければ、市民はお金を使うようにはならないでしょう。
 
 しかし、これは無理な話です。子供手当のように政府がお金をばらまけば非難の的になるし、赤字財政は膨らむでしょう。財政問題も同様です。財政赤字をなくすよう政府支出を減らせば生活が厳しくなるので益々お金を使わなくなります。無駄な公共事業はやめろ、しかし、地方を救えは無理です。どんなに頑張っても地方に工場を持ってきて雇用を拡大することはできません。預貯金金利を上げれば、資金繰りが苦しくなって倒産する企業も出るでしょう。
 
 グローバーリズムがそれを不可能にしたのです。規制を緩和して企業の活動を活発化すれば景気も回復し労働者の雇用機会も拡大し、賃金も上昇するという小泉改革にも国民は疑問を持っています。規制緩和は過当競争を巻き起こし、低価格戦争に突入し、それに勝つために賃金を下げ、労働条件を厳しくし、調整弁としての非正規労働者を増やしました。
 
 さりとておじさんもどうすればよいか分かりません。政治指導者も同様です。中国のように全てが貧しい国(大都市を除いて)では目標は単純です。まず国民が飢えないようにする。(国民1人に卵1個毎日食べれるようにするためには毎日13億個の卵を生産し流通させる必要があります。)次に電化製品や自動車(とりあえずバイク)が購入できるようにする。道路(まずは高速道路次に生活道路)を作り、橋をかけ、ダムや貯水池を作るです。
 
 なんだか高度成長期の日本のようですね。そうです、今の中国は昭和40年代の日本がやったのと同じことをやっているのです。輸出でお金を稼ぎそれを地方の公共事業に回し、国全体に雇用を増やし、収入を地方にも回すのです。
 
 日本ではこのモデルが使えません。日本が不確かな時代に入ったのは、モデルあるいは御手本とする国がなくなったからでしょう。かってイギリスがこのような状況に陥りました。またアメリカもそうです。しかし、イギリスには金融の中心としての伝統があったし、アメリカも移民政策で乗り切りました。日本は残念ながら、単一民族幻想が邪魔をして移民政策は無理でしょう。また、汗をかかずに金を稼ぐ金融立国も勤勉を美徳とする日本では無理なようです。新技術開発も雇用を爆発的に増やすとは思えません。新技術が多くの人手を必要とするはずもないからです。介護関係者の賃金を上げて、雇用を増やせば政府の財政赤字は膨らむでしょう。
 
 残念ながら、日本の未来は暗いとしか言えないようです。多分今一番必要なのは、政治家の哲学だと思います。全ての国民がもろ手を挙げて賛成する政策はありません。何を取り何を捨てるかです。若者のために高齢者の年金を削減すれば(社会保障費の削減)高齢者は選挙で報復するでしょう。若者にしわ寄せすれば、膨大な無年金者を抱え30年後の日本は完全な格差社会になるでしょう。経費削減と言っても、家計の節約と同じで、劇的に減らすのは無理です。公務員給与を最低賃金レベルまで下げれば、少しは経費削減になりますが、公務員の希望者が激減するでしょう。質も低下します。(教員史を読むと分かります。)
 
 やはりここは覚悟の問題です。落選を覚悟し野党になるのを覚悟し、自ら正しいと思う政策を提言する政治家が現れるまで、時代閉塞の現状は続くと思います。日本の社会は英雄期待論を持ちながら、一方では和の政治を好みます。小沢さんがどれだけ叩かれているか見れば分かると思います。今日ものんびり過ごします。