新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

歴史は繰り返すー中国の高度成長と日本の高度成長

 昨日から夕立が続いて少し涼しいです。昨日は30年来の知人の方と食事に行きました。基本的には洋風料理なのです。ただ日本なのでご飯とみそ汁かスープとパンのどちらかの選択です。今回はパンとスープにしました。後は生麦酒です。ビールは断然日本の方がおいしいです。グラスも冷やした生ビールを暑い日の夕方飲むのは最高です。
 
 今回はコースメニューでしたが、リーズナブルな値段で満足でした。その後知人の方のお家のお邪魔して話をして帰りました。知人の方はご夫婦ともに多趣味かつ行動的な方々です。お子さんがおられないで、老後の時間を趣味に生きています。昨日はご主人の趣味の鉄道写真(郊外電車)と水彩画などを見せていただきました。
 
 株価の方もやっと底打ちして上昇傾向がでてきました。最後に買った証券会社株もやっと買値をわずかですがアップしました。今回は家の屋根の整備とリビングの窓の改修工事があるので、何とかその一部だけでも出せたらと思っています。しかし、実質営業日は3週間くらいなのでちょっと難しそうです。(中国に帰ると取引はできません。)
 
 さて今日のブログは中国の高度成長と日本の高度成長の比較です。中国の高度成長を地元で見ると明らかに
かっての日本の高度成長の姿と極めて似ています。日本では中国の高度成長は驚きの目で見られますが、それほど不思議なことではないのです。
 
 日本の高度成長は、いくつかの条件が重なって成し遂げられました。まず、低賃金です。また先進国との通貨の価値の差です。昭和45年に就職した時の初任給は手取りは3万円を切りました。今の中国の元で言えば2000元になります。高度成長スタート時期の給与と重なります。通貨の価値から言えば、長い間1ドル360円で現在87円です。単純に見て現在のドルの価値の4倍です。
 
 つまり、当時の物価水準を考えれば、今の中国と日本はかってのアメリカと日本の状態なのです。ですから、今の中国は輸出大国になることができたのです。賃金から言えば、将来生活水準が日本と同じになれば、当然給与水準も切り上げられるでしょう。もちろん元の価値もあがると思います。
 
 次に都市と農村の問題です。高度成長期日本でも出稼ぎの名前で多くの農民が都市に働きに出ました。中国の農民工を思わせます。出稼ぎ農民の仕送りのおかげで日本の農村も豊かになりました。また、輸出で稼いだお金を地方に公共事業に名前で振り分けました。これも同様です。
 
 日本の優秀な官僚たちは、企業と一緒になって輸出にはげみました。また、日本人は欧米人の行かないアフリカやアジアの隅々までセールスマンとして売り込みに行きました。大学生の時ウガンダ中央銀行総裁になった日本人の報告を読んだのを覚えています。今は日本人は海外勤務を嫌う人が多くなったようです。中央集権的で、強力な官僚組織がうまく機能して、高度成長を進めました。当時現在の官僚バッシングなど想像もつきませんでした。日本の官僚は世界一優秀だと思っていました。もちろん官僚自身にもそのような自負がありました。
 
 当然日本では自民党一党独裁体制に近いものです。野党の力など微力なものでしたし、自民党と野党の政権交代が起こるなどだれも思っていませんでした。政党と官僚と企業は1枚岩でした。中国の共産党と官僚と国営企業の関係を思わせます。
 
 人口的にみても、大勢の若者がいました。(団塊の世代)高齢者も少なく街は若者であふれていました。家家には、次々に電化製品が入ってきました。まずテレビ、次に冷蔵庫、さらにクーラーへと進みました。家家には電話が取り付けられました。今の中国はテレビが終わり、個人はほとんど携帯を持ち次の冷蔵庫の時代です。大勢の若者がいるのもかっての高度成長期の日本と同じです。(社会保障費が安くてすんだのです。)
 
 今中国のマナーの悪さが問題になっていますが、高度成長期の日本では、ダンプの過剰積載、タクシーの乗車拒否、神風タクシー(神風のように乱暴な運転をするタクシー)などが問題になりました。今の中国がまさにこれです。交通戦争というのもありました。また、環境汚染問題から四日市公害にイタイイタイ病などが話題になりました。これも環境問題にゆれる今の中国の姿そのものです。公共の場所でのごみの散乱もよく問題になりました。
 
 また、かっては日本の野菜に人間の排せつ物を発酵させて肥料として使ったいたので、それを見た欧米人は日本の野菜は不潔だから日本に行っても食べなかったようです。それで、わざわざ清浄野菜と銘打って、人糞を使わない栽培の野菜として売ったのです。清潔志向の現代人が高度成長前の日本に行ったなら、余りの不潔さに卒倒するでしょう。(もちろん一般家庭や学校は水洗トイレではありません。)
 
 中国の物まねを揶揄(やゆ)しますが、かって日本はサルまねの国と言われました。先進国を手本に急速に現代化を進めた点は中国も同じです。ちなみに食品汚染の問題は高度成長期のころ甘味料チクロが取り上げられました。サッカリンなどの人工甘味料の発がん性も問題になったものです。
 
  現代の日本の社会は余りにも過去の歴史を見過ごしています。昭和の時代を単に懐かしむだけでなく、高度成長時代、そしてその以前の日本の社会についてもっと取り上げるべきではないかと思いました。そこに、なぜ日本がこんなに閉鎖的な社会になったのかを読み解くカギがあるような気持ちがします。
 
 明日はツマクマが子供のところに行くのでちょっとのんびりします。