新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

大学生就職難再考ー働くことも文化の一部

 今日は朝10時前からすでに夏日です。普通お盆を過ぎると少し涼しくなるのです。今年は高気圧が強すぎるのか、少しも暑さが和らぎません。中国に帰る日も迫っているので、中国のおじさんの街の気温を調べてみると、日本と同じ34度でした。中国西南部でも成都雲南の方は27度で随分過ごしやすいようです。
 
 アメリカ経済が不安定なので相変わらず株価は9200円台を低迷しています。これが1万円台に突入すると少し利益がでて、テレビを買い替える原資がでるのですが。いずれにしても今日は売買ができないようですから、次の帰国の来年の1月まで塩漬です。
 
 さて今日は前回書いた大学生の就職難について再度取り上げます。あのブログを書いた後2人の方からコメントをいただきました。ひとつのテーマについて複数のコメントをいただくのは珍しいので、コメントをふまえて再度書いてみたいと思います。
 
 コメントを寄せてくれた方はどちらも競争社会を支持する考えのようです。簡単にいえば能力がなければ就職できなければ仕方がないということでしょう。それはグローバリズムという世界規模の経済体制に巻き込まれた全ての国が直面することだということでしょう。かって、日本が高度成長の時代アメリカでは多くの産業が崩壊し、工場は閉鎖され失業者が多数でました。それと同様のことが今日本でも起こっているのです。
 
 その後金融部門やIT部門での高度成長で、アメリカは復活することができました。しかし、同時にアメリカは大変な格差社会になったことも間違いありません。中国も現在高度成長の真っ最中ですが、大きな経済格差があることは事実です。実は日本だけが、高度成長を果たしたのに格差が広がらなかったのです。
 
 おじさんが体験した高度成長の時代、ほとんどの人が就職することができました。現在だととても就職活動で勝てそうにない人もそれなりの仕事を見つけることができたのです。日本が世界で一番安全でかつ平均寿命が長いのも、ここに原因があったのです。
 
 現在一般に言われている、自由競争主義の恩恵を受けるのは全ての若者の最大20%くらいでしょう。当然のことながら、優秀だとされる人間より平凡かそれほど優秀でない人間の方が圧倒的に多いと思います。もし、大多数を形成する平凡かそれともそれほど優秀でない人間が、不遇なままに置かれると社会は不安定なものになります。
 
 江戸時代はもちろん世界史的に見て有利な状況にあったことを割り引いても、能力のある人間をできるだけ抑えて、平凡な人間を安定させることを狙いました。(完璧な公的規制の社会)おかげで、江戸250年平和な時代が続きました。(もちろん御蔭で世界のながれから取り残されましたが。)
 
 仕事が見つからない若者は多分非正規雇用になり、将来安定的な仕事を見つけることが難しいでしょう。日本は内と外の社会です。もし大企業の内側に入れたら、格段に有利な人生を送れます。しかし、外側なら恵まれない人生が待っています。それに排除の論理が強いので、外側にいる人には中に入れる代わりに、排除する方向に進むと思います。
 
 アメリカや中国は実は再チャレンジのできるシステムなのです。多分文化の問題だと思います。それに中国などは明らかに政策的に多くの労働者を雇用させています。スーパーでもこんなに人間が必要なのかと思うくらい人が働いています。(カートを整理するだけの社員・計量だけをする社員・警備員など)街でも労働者が道路のコンクリートをノミで砕いています。割れたコンクリートをトラックに運ぶ労働者もいます。
 
 日本のように生産性や効率を上げることを最大の目標とするなら全く不要な人間です。多分給料も日本の水準でいえば10万円くらでしょう。しかし、失業者になれば社会不安を起こすからです。日本のように格好悪い仕事をする人も大勢います。(靴磨き・・1回100円 荷物運び・・1回500円 いずれも日本の水準で)さらに、半日くらい働いて後はマージャンをして過ごす人もいます。実に多様な生きざまなのです。
 
 翻って日本では、大企業サラリーマンにならなければ、経済的以上に精神的な不安にとらわれるでしょう。他者が自分のことをどう見るかに日本の若者は異常にこだわっています。中国の人のような多様な生き方はできないと思います。また、中国では転職は当然で、基本的には終身雇用は少ないようです。大学の先生もキャリアを積んでさらに良いランクの大学を目指しています。在職のまま大学院に進学することもできます。
 
 日本の雇用問題は極めた日本的な文化と結びついているような気がします。しかし、グロバリズムの時代だからと言って、外国風のやり方をそのまま導入することもできません。やはり日本では、ワークシェアリングをして、できるだけ多くの若者を正規雇用にする方がよいと思います。おじさんは基本的には大きな政府に賛成なのです。それは日本の文化にあっているからです。たとえば、消費税を上げて介護職員の給与をあげ、多くの若者を雇用したり、海外で日本語を教える若者のために日本での生活保障をするなどです。これらは民間企業ではできないのです。
 
 明日はわが家で過ごす最後の日です。今日役所に転出届を出します。荷物の整理をしているとだんだん気持ちも中国へと移っていきます。ブログは明日まで日本で多分火曜日から中国で書き始めます。