新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

郵政不正事件証拠改ざんをめぐって

 今日は天気予報通り午後から雨になりました。気温も昨日までの夏日から一気に秋になりました。今日は中秋節なのですが、この調子では中秋の名月は見えそうにありません。中秋節には中国では月餅をお世話になった人に贈ったり、家族で食べたりします。(端午節の粽同様)
 
 日本でも月餅は良く知られていますが、日本の比ではありません。8月くらいから売り始めています。贈答用だと200元とか300元(2500円とか3600円くらい)します。日本と物価水準が違いますので、日本の感覚だと1万円以上するものです。
 
 大学からも月餅をもらいました。もちろん庶民用の安いバラ売りもあります。贈答用はきれいな箱入りです。(中身は4個くらいなのに箱はとても大きいです。)ちなみに端午節にも粽を大学からもらいます。これは外国人教師だけです。
 
 漁船問題は相変わらずこじれたままです。ただ今日は知りませんが、昨日までの午後7時の中央電視台(日本のNHKに相当します。)のニュースでもこの問題は取り上げていませんでした。日本の皆さんは連日中国ではこの問題が報道されているとお考えでしょうが、実は意外と取り上げていないのです。
 
 この問題の落とし所は難しいですね。さて、昨日の夜のヤフーニュースを見ると、どうも改ざん事件の当時者の主任検事の人が最高検察庁によって逮捕されたようですね。逮捕というと警察を思いますが、検察官も逮捕することができるのです。(家宅捜査などは検察事務官を使います。)
 
 この問題は検察官がからんでいるし、改ざんという正義を追及する検察官にあってはならない不正なので、最高検察庁が逮捕したと思います。まさに異常な事件といえるでしょう。先に書いたように、どの世界でも証拠を改ざんするなどということはあってはならないのですが、国民の信頼の上に成り立つ検察の場合さらにそれが厳しく求められるでしょう。
 
 報道によると地検のかなりの数の関係者もそれを知っていたようです。地検上層部もそのことを知りながら、問題を軽く考えていたようです。遊んでいてうっかり書き直してしまったなどというふざけた話しを検察官ともあろうものが信じる方がどうかしています。
 
 この話は以前旧石器時代の遺物発見で実は自分が埋めたものを掘りだした事件と良く似ています。周りの人から、あの人は特別だと言われて、実は何もありませんでしたと言えなくて証拠を偽造したり改ざんしたりするのです。それまで実績があり、それを失いたくない場合によく起こります。
 
 研究者のデーター改ざん事件も同様です。発掘でも研究でも捜査でもある程度の見込みをつけてとりかかります。研究ではその場合仮説といいます。仮説が誤っているのに研究を進め、途中で気付いたとしても、いまさら全部間違いで、最初からやり直しますと言えないことがあるのです。
 
 この検事さんの場合、政府の高官を逮捕しているのですから、これまでのキャリアや信頼をすべて失います。フロッピーを見た瞬間に、政府高官は無罪だと分かったはずです。自分の描いた事件の全体像が崩れたはずです。しかし、それをいまさらごめんなさい間違いでしたで済むはずはありません。
 
 さて、この後の影響ですが、検察側としては裁判官からの調書に対する信頼を失うでしょう。特捜のそれも主任検事でさえ改ざんをするのですから、他の検事の調書にも改ざんがある可能性があると考えるでしょう。そうなれば、これまで検察側の調書はほぼ無条件に証拠として採用されたのに、一つ一つ審査することになります。
 
 その結果、裁判は大幅に遅れることになります。それに弁護側も調書の厳密な審査を要求するでしょう。今までなら検察側を信頼して申し出を却下していたところが、そうでなくなる可能性もあります。さらに、取り調べの可視化も具体化する可能性もあります。最高検察庁としては、こんな検事が出たのでは、反論も難しくなります。
 
 今までの検察は無条件に信頼できるという構図が崩れました。専門家の間で検察官が政治的すぎるという意見もでています。(小沢さんの件に関して)マスコミは今まで検察の味方でしたが、これで手のひらを返したように検察批判を始めるかもしれません。(マスコミでは当然のことです。世論こそ全てなのですから。)この事件をどう収拾するのか、注目されるところです。
 
 明日も中秋節の休暇が続きます。