新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

授業開始です。

 今日は朝すごい濃霧でした。何とマンションの下の庭(以前書いた畑のあるところ)も見えないほどでした。視界3メートルとでもいうべきでしょう。もちろんいつも見える高速道路も車の音が聞こえるだけです。朝8時過ぎまで続いて、その後しだいに晴れてきました。
 
  濃霧の時は天気がよくなるのですが、予想通り午後10時過ぎには霧も晴れ暖かくなりました。最高気温は28度くらいまで行ったようです。歩いて大学からマンションに帰りつく頃には汗びっしょりになりました。
 
 さて、今日からいよいよ授業開始です。本来なら午前中はD区で3年生の日本概況をやるところですが、学生さんの要望で、先週やっていたので午後だけの授業となりました。久しぶりに授業について書きます。授業は1コマ単位です。1コマは45分授業2時間が一つの単位です。
 
 日本の大学ですと100分授業とか90分授業とか呼ぶところですが、中国では日本の学校のように休み時間が10分あります。おじさんは高校の教師だったので、当然50分授業が1つの単位です。ですから45分授業だととても短く感じます。日本の大学は90分授業ですよと中国の学生さんに話すと、先生トイレとかどうするのですかと聞かれます。
 
 考えてみれば、90分授業の間トイレに行った記憶もないので、多分我慢していたのだと思います。昼寝の時間といい、トイレの時間といい中国の授業はよく考えられています。軍事訓練でも休憩時間はきちんととるし、水などのボトルも持参だし、時には座るためのプラスチックの椅子も持参です。(お風呂の体を擦る時座るような椅子)
 
 そう言えば中国の戦前の軍隊などを見ると、傘や鍋など一杯道具を下げて行進していますが、なるほどと納得しました。もちろん現在の軍隊ではそんなことはありません。日本の自衛隊同様スマートにやっています。
 
 授業は総合日本語という科目です。これは以前書いたように上海大学出版会が出したテキストがあります。レベルは大学1年くらいから小学校6年生くらいまでのレベルです。全体的には高校の総合国語(高校1・2年)のレベルです。出典として新選国語Ⅰ東京書籍などと書いてあります。国語Ⅰは昔の呼び方で、国語Ⅰは大体高校1年のレベルです。
 
 小学校6年(下)は小学校の国語教科書で有名な光村出版の本からの引用です。これは、あの足尾鉱毒事件で有名になった田中正造の話です。ちゃんと天皇に直訴した話もでています。大学1年レベルのは、今やっている梅原猛(うめはらたけし)の「日常の思想」という本からとっています。
 
 内容は余暇について書かれています。なぜ近代になって余暇というものができたのか。余暇が一部の特権階級のものであったのは何故かなどとてもおもしろいです。ただヒッピーの話などでてきて時代の古さを感じさせます。このテキスト自身10年くらい前に作られたもののようです。
 
 人気があるようで、今でも出版社は出しています。インターネットでも買えるようです。おじさんもこちらに2年前きてから使っているし、その前にも使っていたようですから、おじさんの大学でも結構昔から使っているようです。日本の教科書ですと指導書というものがあるのですが、こちらはありません。(指導書は先生のための授業ガイドブック)
 
 ですから、日本で国語教師をした経験のない人が教えるにはちょっと大変かもしれません。中国では募集要項に日本で国語教師経験者優遇というようなことが書いてあることもあります。他の国と違って、日本の国語教育をそのまま日本語教育として使っているように思います。(日本で受けた日本語教育は国語教育とは全く違うものでした。)
 
 おじさんにとっては、日本での授業の延長なので楽です。中国人の先生も、日本での国語教育の経験がないので、おじさんたち(もう一人の同僚も元国語教師)に毎年4年生の総合日本語は任せています。
 
 今日で今週の授業は終わりです。明日は日本へ留学する学生さんの送別会があります。