新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国大学就職活動あれこれ

 今日も朝から雨でした。すっかり涼しくなって秋の様子です。授業も月曜日から完全に普段通りになりました。昨日から始まった大学の留学生国際文化祭は今日も続いています。今日は大きな行事はなくて、留学生の撮影した写真展などです。明日は中国側の晩会(音楽会)があります。金曜日はイギリスの音楽祭です。これはチケットが必要なのですが、すでにゲットしています。
 
 土曜日はサッカーの試合があるようです。(留学生と大学の中国人学生との)日曜日に閉会式があって終わりです。
 
 さて、中国もいよいよ就職活動真っ盛りになりました。ここ2年間この大学で教員として過ごしたので、その間見聞きした就職活動に関する報告です。今日目についたのは、会社の就職説明会の看板です。中国では大きな大学に直接企業が来て就職説明会を開きます。
 
 おじさんは日本語学部の教員ですが、大学全体としては理系の強い大学です。日本語学部を含め外国語学院(学院はカレッジの訳で、様々な学院が集まって大学を構成しています。)は設立10年くらいで新しいのです。今中国は壮大な建設ラッシュで建築系の就職はとてもいいです。建築系には建築学院の他に都市工学や地質工学、土木工学などがあります。
 
 次に就職が良いのが機械・電子・電気などです。他に電力学院などもあります。もちろんコンピュータ関係もいいです。文系では法律系は公務員試験などを受験します。おもしろいのは最近聞いた体育学院の大学院生の話です。(総合大学なので体育学院もあります。)彼はある高校の体育の教員に就職が決まっていたのですが、警察官の試験にも合格して、高校の教員の内定を断って警察官になったそうです。
 
 今年おじさんの街の警察官になった人の40%くらいが大学院の修士で10%くらいは大学院の博士課程の修了者なのだそうです。その他が大卒と高卒なのだそうです。中国は完全な学歴社会なので、修士の彼の初任給は大卒初任給の2倍くらいです。(大卒は2000元 2万4千円くらい 修士は4千元)おじさんたち外国人教師でも大卒で4千元 、修士だと5千元です。千元は日本の感覚だと10万円くらいに相当します。(ちなみに1元は現在12円くらいです。)
 
 また、この彼は高校教員を辞める時違約金3千元を払ったそうです。一度内定すると相手先と大学と自分の三者で契約を結び、勝手に辞めると(理由のない内定辞退・・例えば大学院に進学するなどは理由になります。)違約金を相手に払うことになります。また大学が内定辞退を認めないと、新しい就職先と契約が結べないそうです。
 
 企業向けのスーツなどもグランド横で受け付けていました。日本のように紳士服専門店などないので、忙しい学生はそこで就職用のスーツを注文するのです。日本だと4月新学期開始とともに就職活動が始まりますが、こちらは新学期の9月には中秋節、10月初めには国慶節と長期の休暇があるので、全て終わった今週あたりから就職活動は盛んになります。
 
 就職試験は日本とほぼ同様で、エントリーにパスするとまず筆記試験があります。日本語学部卒業生の場合英語や日本語の試験が中心で、後は教養問題なのだそうです。次に面接が2回くらいあって、合否がきまります。文系学部の場合、内定をもらうのは大変です。
 
 また合格した点数によって配属先も決まるようです。優秀な学生は財務(日本の経理部)などに配属され、そうでない学生は総務部門などに回されるようです。そして、部門のよって給与も違うそうです。500元近い差がありそうです。正式採用後に勝手にやめると契約違反として3万元(36万円くらい)くらいの違約金を会社に払わなければならないそうです。
 
 そういえば、おじさんが大学と結んだ契約書にも勝手にやめると最高3000ドル(24万円くらい)の違約金を払わせるという条項がありました。もちろん、病気などは払わなくてもいいのですが、たとえば日本で良い就職口が見つかったので、年度途中で辞めて日本に帰る場合それに該当するでしょう。
 
 逆に仕事がいい加減だと、半年で契約解除ということもあるようです。日本に比べて離職については厳しい制限があるのが中国の特徴です。中国ではいくつも内定をもらうわけにはいかないのです。それと内定辞退などがあると、後任を同じ学部の別の人にすることも多いです。ちょっと奇妙な気もするのですが。学生さんからも、○○さんが別の仕事についたので、その後任として採用されましたという話を聞きます。
 
 本当に所変われば品変わるで、就職に関してもおもしろいです。就職説明会による公募の他に、大学の先生に直接求人が来ることもあります。その場合、大学の先生が適性や能力を考えて学生を推薦しているようです。こちらの方が公募より合格率が高そうです。日本では理系の場合ほとんど教授推薦ですが、こちらは理系文系問わず先生の推薦があるようです。
 
 今日は午後のんびり過ごして、明日は1日D区で授業です。夕方大学の外国人担当部門主催の外国人教師歓迎会が近くのホテルであります。(ホテルは大学の施設の一部です。)