新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

世にも不思議な物語(からくにことばつかわざるおきて)

 今日は一日中雨でした。おまけに気温も低下し、とうとう毛糸のセーターを着て授業をしました。学生の皆さんも厚着になりました。昨日は雨で洗濯物が乾かないので、とうとう暖房を入れました。デモ騒ぎが続くので、主任の先生からも気をつけてくださいと連絡がありました。
 
 大学構内にいる限りは安全なので、繁華街には買い物以外行かないようにしています。と言ってもおじさんのマンションの近くの繁華街はおじさんの大学と師範大学(教育大学)しかないので比較的安心です。おじさんのキャンパスはほとんど理系の学生さんです。それも3・4年生でデモなどに参加したら就職が難しくなりますから、安心です。
 
 それに師範大学の学生さんも将来公立学校の先生になるのに、デモで逮捕などということになれば就職が難しいでしょう。そのようなわけで安心しています。
 
 さて、今日のブログのタイトルは不思議ですね。そうです、ツマクマがこのところパソコンで「世にも不思議な物語」をいつも見ているのでおじさんも不思議な夢を見てしまいました。夢は現実の出来事が変形してでてくるものだそうです。
 
 その夢はこうです。どうも現政権が隣国に対して弱腰なので、マスコミと保守派の人が一緒になって倒閣運動を起こし、成功して保守民族派の政権が誕生したようです。そして、まず手始めに現在のように弱腰なのは、隣国の文化的影響が強すぎるからだと考えました。
 
 この政権は前の大戦の際、日本がやったように敵性外国語及び文化を排除することを決めたのです。隣国の言葉だけではなく隣国の文化も排除し、伝統的かつ正統的な文化を作ろうをしたようです。そのため作られたのがこの法案なのです。つまり日本の言葉から漢字の使用をなくし、音読をやめ訓読みだけにする法案です。(韓国では事実漢字の使用を禁止し、日本の音楽を流すことを禁止しました。)
 
 漢字漢語使用禁止法案は全て敵性外国語からできていますから、使ってはいけません。これをやまとことばで言えば「からくにことばつかわざるおきて」となります。びっくりして新聞を見ると、本当にひらがなばかりです。また記事を読むと、一番困ったのは政府自身なのです。なぜなら法律は漢字漢語の塊だからです。
 
 保守民族派の政権が力を入れようとした自衛隊そのものが困ってしまいました。なぜなら、自衛隊自身が漢語なのです。「みずからまもるいくさなかま」と改名しました。三軍の名称を復活しようとしたのですが、「陸軍」は「くがいくさなかま」になりますし、海軍は「うみいくさなかま」空軍は「そらいくさなかま」となりおよそ迫力がないので、自衛官からは反発が出たのだそうです。軍歌も「いくさうた」になりました。
 
 また文化についても、昭和から明治はもちろん、江戸時代もそもそも儒教精神に基づくものですからこれも駄目です。つまり平安時代の貴族こそが国風文化(日本伝統文化)なのです。そこで、政府は和歌を奨励しました。ところが、困ったことに手本になる平安文学は中国文化(唐詩など)から成り立っているのです。中国文化の部分を枕草子から除くとあの有名な「香炉峰の雪の話し」も授業で教えられなくなりました。
 
 それに男女の恋愛こそが平安文化の神髄なので、これまで以上に恋愛が盛んになり男らしさどころ、男性の化粧も大流行です。武道のような武ばったことは上流階層では禁止です。一番レベルの高いことは歌を上手に作ることだとなりました。
 
 ただ産業技術などのために、英語などからの外来語は使用許可になったので、法律は全てルールと呼ばれるようになりました。また、企業では法律に触れないようにするため、会社内の公用語は全て英語としました。また、小学校(これは「ちいさきまなびのところ」)でも「やまとことば」を使うのが大変なので、国語(やまとことばまなび)の授業を減らして、大幅に英語の授業を導入しました。
 
 大学入試でも変化が起こります。日本語学科が大人気です。英語で言えない部分を「やまとことば」で正確に表現できなければ、新設の「やまとことばとりしまるのところ」(宗教警察ならぬ言語警察)が即逮捕に来るからです。出版・印刷業者は大変な好況になりました。
 
 世界中の日本語学習者は、これまでの日本語学習の成果を全て失いました。あのような複雑なやまとことば(日本語)を学ぶ人はいなくなります。これで「あらたなるやまとびと」(新しい政権下に生きる日本人のこと)は異民族と付き合わずにすむので喜んでいます。今や新日本は鎖国状態です。
 
 そうそう日本国憲法も「あらたなるやまとくにきまりごとのもと」という名前で改正され、国名すら日本から「やまとくに」に代わりました。隣国と仲良くする人を非難した「媚中派」という言葉も「なかつくににこびるやから」と言うようになりました。まさに現代版「禁酒法」です。こっそり漢字で書かれた書物を読む理系の学者が多く集中取り締まりもあっています。というのは現代科学を英語ややまとことばだけで表現するのは無理だからです。
 
 ちなみに数学は「かずまなび」物理学は「もののことわりまなび」などと変わりました。生物学はとうぜん「いきものまなび」です。ここまでみたところで突然目が覚めました。あわててネットを開いて見るとヤフーのニュースは漢字かな混じり文で書いてありほっとしました。まさに悪夢でした。
 
 明日は地獄の木曜日です。ツマクマは11月下旬に帰国するチケットがとれました。(父親の法事のため)