新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国大学報告ー卒業論文指導

 今日も朝は雨で午前中から曇り空に変わりました。明日は天気予報によれば、気温が10度以下に下がるそうです。いよいよ冬本番というところです。
 
 株価の方は年末の餅つき相場なのか、少し上がってきました。一番最後に中国に来る前買った某証券会社の株式もやっと買値を上回ってきました。以前は2000円近くしたのに、今は500円そこそこです。名前を言えばだれでも知っている超有名企業をしてもそんなものです。株価は古巣に戻るというので、何年か後を楽しみに持っています。
 
 おじさんの所有する株式は、まず倒産しないことが第一なので、値上がり幅も大きくありません。何と言っても安全第一なのです。円高も一服でほっとしています。逆説的ですが、日本の政治が混乱し経済界にも打撃になるようだと円安になり、株価が上がるのですが。 とりあえず、帰国まで売買できないので、どちらでもいいのです。(海外在住者は株式売買ができないのです。)
 
 さて、今日朝メールボックスを開けると、今年度の卒業論文指導学生一覧が来ていました。今年は、他の先生の状況が分からないのですが、とりあえずおじさんは6人の学生さんを指導しなければなりません。去年は、日本語がほとんど書けない学生さんが来て大変でした。(日本語学部でもそんな学生さんがいるのです。)
 
 今年は男性が1人と女性が5人です。男性の学生さんは、日本語でなく、貿易か経済での大学院の進学を目指している人です。こちらは、高校時代から日本語を学んでいるので、何とか日本語はできます。ただ、卒論のテーマが「日本刀の研究」なのです。
 
 先日卒論テーマ検討会の時に大体話しは聞いていたのですが、まさかおじさんの指導学生になるとは思いませんでした。本人は至極真面目に考えています。日本刀に関する知識もあるので、何とかなりそうです。本人はどうも日本刀に関する紹介をしたいようですが、それでは論文にならないので、日本刀を通して日本人の精神文化を考える方向にしようと思っています。
 
 残りの学生さんでちょっと困っているのは、「司馬遼太郎の研究」です。この学生さんは、司馬は英雄主義を取っており、史実とのずれがあると言うのです。こちらも、卒論テーマ検討会で話しをしました。言いたいことは分かるのですが、どのようにしてそれを明らかにするのか難しいところです。どの作品を使ってやるのか、また史実をどう探るのかが課題です。
 
 次に別の問題のある学生さんもいます。こちらは「在中国日本婦人の消費意識と中国人婦人の消費意識の比較」です。なかなかおもしろテーマなのですが、問題はおじさんの街には日本婦人がほとんどいないということです。そもそも市内の日本人全体でも600人とも300人ともいわれるほど少ないのです。
 
 それにほとんどの方は単身赴任で、夫婦で来られている方はわずかです。調査には30人程度は必要なのですが、まさか領事館にどこに日本の婦人がいますかと聞くわけにもいかず、ツマクマの知り合いに頼むしかありません。それだと15人くらいがせいぜいです。ちょっと調査対象が少なすぎる気もするのですが。
 
 その他の方は安心できるテーマです。今度北京の日本文化センターの大学院(中国ではトップクラスの研究施設です。その付属大学院)に進学するのが決定している学生さんは「太宰治の貴族意識の研究」です。太宰の研究論文は無数と言っていいほどあるので、何とかなると思います。「日本語学習者の擬声語習得」を取り上げる学生さんは、東北大学の経済学部の研究生となるのが決まっています。こちらも何とかなりそうです。
 
 もう一人の学生さんは、卒論テーマ検討会の時は「アニメ忍者火影が中国の青少年に与えた影響」というテーマだったのですが、おじさんがそれは無理ですよと言ったら、今回は「日本の和歌にあらわれた柳のイメージについて」でした。去年は桜のイメージについての研究があったのですが、柳もおもしろいと思います。
 
 中国でも庭に柳が植えてあります。中国の文学作品における柳のイメージと比較するのもおもしろいと思いました。有名な「元二の安西に使いするを送る」という漢詩でも「客舎青青柳色新たなり」とあります。
 
 今日の夕方3人の学生さんが、さっそく卒論のことでおじさんのマンションに来ます。今は仮のテーマなので、おじさんと話合って正式なテーマを確定するのです。中国の大学生の生の姿の一端を紹介しています。明日も午前中授業です。