新おじさん教師のひとりごと

長年高校教師をした後、中国の大学で日本語を教え、3年間過ごして帰国しました。今は引退して年金生活です。個人的な意見を書いています。

中国は貧しいか・・平価購買率から考える。

 今日は朝から冷たい雨です。昼過ぎには上がると思ったのですが、降りやみません。この街としては本格的な降りになってしまいました。気温も低下して本格的な冬景色です。(雪は降りませんが)昨日は風も強かったようで、木の葉も多く落ちていました。立て看板も倒れていました。
 
 昨日は学生さんが3人来て卒業論文の打ち合わせをしました。中国滞在婦人の消費意識についてというテーマは、アンケートに応じてくれる人を探すのが難しいのでテーマを変えてもらいました。次のテーマは「コピー商品」に関する日中の意識の比較です。これなら、日本に帰ってアンケートできるので何とかなるだろうと話しました。中国では日本よりコピー商品に対する許容度が高いような気がします。それを立証するだけでも論文になると思います。
 
 さて今日のテーマは中国は貧しいのかということです。実はおじさんも中国に来る前までは中国という国は本当に貧しい国だと考えていました。その最大の理由は一人当たりのGDP調査です。日本は39657ドルで中国は3743ドルです。日本の十分の一以下です。国民所得も大体こんなものでしょう。(ドル換算で)
 
 日本で言えば国民の平均所得は約350万円というとことで、中国は32万円というところでしょう。これだけ見ると中国は本当に貧しい国です。それなのに、日本に来て電気製品を買いあさる中国人観光客がいるのですから、中国の所得格差は恐ろしく大きく、国民は不満を持っているだろうというマスコミや大多数の日本人の中国観になるのです。
 
 実は私も中国に来るまでそうだったのです。しかし、ここで大きなポイントを見逃しているのです。それは平価購買率の考え方です。簡単に言えば、もし中国の物価が日本と同じなら中国人の平均的生活は本当に惨めで貧しいものです。ほとんどの日本人は、中国の物価も日本の物価も同じだと無意識に考えているのです。
 
 ところが、中国で生活して見て驚きました。具体的にお話しした方がいいでしょう。このブログを継続してお読みの方は分かると思いますが、おじさんは中国人大学生の卒業論文指導をし、大学院生に日本古典を教える仕事をしています。日本であれば、准教授クラスの待遇です。それなのに給与の年収は年間90万円以下です。月で言えば8万円以下です。もし日本であれば、生きていく最低限度の生活が可能な額です。
 
 この給料で、年に3回くらい国内旅行(ほとんど片道あるいは往復飛行機で、通訳の方も入れて3人での旅行)ができるのです。簡単に言えば、中国は物価がとても安いということです。大学の先生でも月給5万円程度です。それでも車を買っています。(もちろんご夫婦ともに先生ですが)
 
 おじさんのイメージでは、中国の物価は日本の8分の1程度です。ですから、生活水準から言えば、中国の国民一人当たりのGDPドル換算は8倍してみて、初めて日本の生活水準に該当するということになります。ですから、おじさんの給与も日本の物価水準に当てはめれば90万円×8=720万円ということになります。中国は基本的にボーナスがないので、日本で言えば月収は65万円ということになります。(8月は給与がないので、11ケ月で年収換算になります。)
 
 月給65万円はちょっと高すぎますが、月給60万円くらいのレベルの生活ができるのです。次に先程の中国人平均収入の場合、32万円×8=256万円ということになります。中国の現在の国民の生活水準は日本より少し低いと言う程度なのです。もちろん、中国の国民のかなりの数を占める農民の生活は現金収入が少ないので、年収は都市生活者よりかなり低いでしょう。
 
 こう考えると実は中国の普通の会社員の生活レベルは日本とほとんど変わらないということができます。(それに中国人の普通の家庭は基本的に夫婦共稼ぎ)ですから、中国人の生活は日本で思うほど苦しくないということです。そう考えれば、平日でもスーパーは大勢の人が買い物に来ていますし、デパートも土日は多い入り満員なのも理解できます。観光地の人出の多さも理解できるでしょう。
 
 ですから、日本に来ている中国人観光客は大金持ちなのです。日本で言えば大富豪感覚です。この点を考えに入れないで、単純に国民一人当たりのGDPだけを見ると中国の社会を誤って理解することになると思います。今インフレが進行中です。この2年で実感としても10%以上物価が値上がりしています。食料品の値上がりも大きいです。しかし、農民が豊かになるためには農産物価格の引き上げは絶対必要なのです。
 
 おじさんの感覚でも公共料金や農産物価格は他の物価に比べて異常に低く抑えられていると思います。ですから、中国の農村部の生活水準を引き上げるために農産物価格の上昇は仕方がないことだと思います。中国経済がこれからどうなるのか注目されるところこです。
 
 明日は日本概況の最終授業です。日本概況から分かった日本の歴史の特徴についてもまた書きます。